「ギャップビザ」という言葉を聞いたことがない方もいらっしゃると思います。これはステータス変更(Change of Status, COS)の際に生じる問題で、最近USCISがF-1学生ビザへのステータス変更に対して厳しくなったことが原因で生まれた概念です。
以前は、現在のステータスが有効なうちにステータス変更の申請を行えば、処理にどれだけ時間がかかったとしても最終的にステータス変更が承認される限りは問題はありませんでした。しかし最近のUSCISのルール変更により、授業開始日(start date)の少なくとも30日前までは、BビザやHビザなどの有効な非移民ステータス(単なる滞在期限ではない)を保持するよう要求されています。
問題は、ステータス変更の審査が長引く場合に生じます。たとえば、申請から6か月ほど経ってしまうと、現在のステータスはすでに切れてしまい、F-1学生ビザの開始日も過ぎてしまっているという状況になります。そうなると、USCISとしてはステータス変更を認めたいと思っても、新しい規定により承認できなくなってしまうのです。
そこで生まれたのが「ギャップビザ(gap visa)」です。(実際には筆者が作った用語です。)現在の非移民ビザと学生ビザの間の“空白”を埋める必要があるため「ギャップ(gap)」という呼び方をしています。このギャップが1か月以上にならないようにすることがギャップビザの目的です。
したがって、もし現在のビザの有効期限が近づいている状態でステータス変更を申請する場合は、同時にギャップビザの申請をしておくことが賢明です。後になって急にビザを申請しようとすると、それ自体が難しくなる場合がありますし、すでに有効な滞在ビザがない場合、多くの非移民ビザステータスへの変更が不可能になります。(F-1学生ビザと同様の規定を適用するビザは今後さらに増加する見込みです。)
また、後から急にギャップビザを申請した場合、それが承認されないと学生ビザを取得できず、さらにギャップビザ承認を待っている間に学生ビザ用のI-20の有効期限が切れてしまうなど、悪循環が生じる可能性があります。したがって、ステータス変更を行う際には、この概念をしっかりと理解しておく必要があります。